「屋根をリフォームしたいが、なるべく費用を抑えたい」とお考えの方には、カバー工法による屋根リフォームがおすすめです。カバー工法とは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を設置するリフォーム方法です。

カバー工法には、工期や費用の面で大きなメリットがありますが、事前に理解しておくべき注意点もあります。

そこで、この記事では、屋根のカバー工法の特徴やメリット・デメリット、カバー工法を適用できない屋根の特徴などを詳しく解説します。屋根のカバー工法にかかる費用も目安や実際の施工事例についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

屋根のカバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を被せる施工方法のことで「重ね葺き」と呼ばれることもあります。

屋根のリフォームには、カバー工法のほかに「葺き替え」と呼ばれる方法があります。屋根の葺き替えは、既存の屋根材を撤去して新しい屋根材に張り替える方法です。

つまり、カバー工法と葺き替えの違いは「既存の屋根材の撤去の有無」といえます。

カバー工法は、既存の屋根材の撤去がないため、葺き替えに比べると工期を短縮でき、費用も抑えられます。また、リフォーム時の廃材の削減や工事による騒音の軽減なども、カバー工法のメリットといえるでしょう。

さらに、屋根が二重になることで、住まいの断熱性や遮熱性が向上するというメリットもあります。

工期や費用の面でメリットの大きいカバー工法ですが、理解しておくべきデメリットもあります。

カバー工法は、既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねるため、屋根の重量が増してしまいます。そのため、なるべく軽量な屋根材を採用することとなり、葺き替えに比べると選べる屋根材の選択肢が限定されます。

また、カバー工法でリフォームした屋根には、太陽光パネルを設置するのが難しいケースもあります。太陽光パネルの落下や屋根の重量が増して建物に負担をかけるリスクがあるためです。

カバー工法でリフォームした屋根に、太陽光パネルを設置する場合は、専用の架台を使用するといった対策が必要となります。

さらに、屋根の種類や状態によっては、カバー工法を適用できないケースがあることもデメリットの1つです。次の章では、カバー工法が適用できないケースについて解説します。

カバー工法は、基本的には既存の屋根材や屋根の下地に大きな劣化がない場合にのみ、適用可能です。

そのため、既存の屋根材や屋根の下地に著しい劣化が見られる場合は、カバー工法ではなく葺き替えによるリフォームを検討しましょう。

また、瓦屋根の場合は、屋根面がフラットではなく、瓦屋根自体も重いため、カバー工法で屋根の重量がさらに重くなってしまうといった理由でカバー工法が適用できません。

さらに、複雑な形状の屋根や勾配が急すぎる屋根も、カバー工法が適用できないケースがあるため、事前にリフォーム会社によく相談しましょう。

【費用相場】100万円～220万円
※40坪の戸建て（屋根面積 約80㎡）の場合

屋根のカバー工法の費用は、使用する屋根材の種類や屋根の大きさ、形状などによって変動しますが、一般的には下記が目安となります。

・新しい屋根材の設置：7,000円～12,000円/㎡
・棟板金や雪止め金具の撤去・設置：3,000円～11,000円/㎡
・防水シートの設置：500円～1,500円/㎡
・足場費用：15万円～20万円

40坪の戸建て（屋根面積 約80㎡）の場合であれば、総額で100万円〜220万円前後が費用相場の目安となります。

屋根をカバー工法でリフォームする場合、なるべく軽量な屋根材を使用するのが望ましいとされています。そのため、軽量で耐久性の高い金属製屋根材である「ガルバリウム鋼板」や「ジンカリウム鋼板」「エスジーエル鋼板」が用いられるのが一般的です。

また、金属製屋根材よりは重量が重くなりますが、比較的安価に施工できる「アスファルトシングル」が用いられるケースもあります。

屋根のカバー工法の施工手順は以下の通りです。

1．足場の設置（約1日）
2．屋根の点検、棟板金や雪止め金具の撤去（約1日）
3．防水シート張り（約1～2日）
5．屋根材の重ね張り（約2～3日）
6．仕上げ、足場の解体（約1日）

一般的には、屋根のカバー工法にかかる工期は1週間前後ですが、屋根の面積や状態によっては10日前後かかる場合もあります。

カバー工法で屋根をリフォームする場合、まずは、足場を組み立ててから、既存の屋根材の状態を点検します。屋根の状態に問題がなければ、施工前に棟板金や雪止め金具などを外し、屋根の清掃を行います。

屋根の汚れを取り除いたら、既存の屋根の上に下地となる防水シートを張り、新しい屋根材を設置します。屋根材の設置が終わったら、棟板金や雪止め金具などを取り付けて仕上げを行い、最後に足場を撤去して完了です。

既存の屋根材を撤去する葺き替えの場合、ここに「既存の屋根材の撤去」「下地の補修」などの作業がプラスされるため、工期は10日〜2週間前後となります。

ここからは、遠鉄のリフォームが手がけた屋根のカバー工法の施工事例を紹介します。

施工内容	屋根カバー工法工事
工事期間	1週間
使用商材	ニチハ：横暖ルーフα、プレミアムS
築年数	21年
工事費用	約200万円

台風の影響で、2階屋根の屋根材が欠落したことがきっかけでご相談をいただいたF様。

屋根材の色あせが早く、割れも生じていましたが、素材が当時の特殊産業廃棄物（石綿仕様）であり処分が難しいため、カバー工法によるリフォームをご提案。フッ素塗装の仕上げとなり、シャープな印象の屋根に仕上がりました。

施工事例の詳細はこちら

施工内容	・屋根カバー工法工事
工事期間	2週間
使用商材	・ニチハ アスファルトシングル アルマ
築年数	20年
工事費用	約180万円

屋根の一部に劣化が見られたため、リフォームのご相談をいただいたY様。屋根の劣化状況を確認したうえで、カバー工法によるリフォームをご提案しました。全体がリフレッシュして、きれいな仕上がりに。

施工事例の詳細はこちら

既存の屋根材の上から新しい屋根材を設置するカバー工法は、工期や費用の面でメリットの大きなリフォーム方法です。ただし、選択できる屋根材が限られる、適用できない屋根がある、といった注意点を事前に理解しておく必要があります。

屋根は住まいを守る大切な部分です。屋根の劣化や不具合が気になる方は、ぜひ早めに、実績豊富なリフォーム会社に相談してみることをおすすめします。

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